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こちらはトミーウォーカーが運営する「SILVER RAIN」に登録しているキャラクター、「芹澤天」と「山田八重」のブログです。
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夜風が頬を撫でる。

どこか温く感じるのはこの場に残る熱気か、それとも傷が持つ熱だろうか。
「帰るかい?」
尋ねられて、夜の影に静かに立つその男と向き合う。
「いや、今夜はこのまま。明日の朝に」
男の背後にも数人の男女。見知った顔がいくつかあったが、その殆どがこちらと目を合わせようともせずにただ、佇んでいた。
こちらとしても特に用は無い。一瞥をくれただけで視線を男に戻すと、彼は微笑を浮かべたまま小首を傾げた。
「その怪我で?」
そんなに酷い傷を負っているのだろうかと、思わず自分の姿を見下ろす。
けれど特に変わった事はなく、いつもの事だと首を振った。
「慣れてる。数日後には治るから」
そう、と頷くと、男は暫し顎に手を当ててこちらをじろじろと見て一言。
「泣くだろうね」
「う……」
思わず言葉に詰って俯くと、ぽん、頭に手を置かれる。
手で乱暴に払いのけながら軽く睨んでやると、肩をすくめられた。
「心配してくれる人間がいるのは、有難い事じゃないかな?もっと感謝しないと」
どこか楽しそうな声色。こちらをからかって面白がっているのは間違いない。
「うるさい」
そっけなく言い返すが、暫く引き下がらないだろうということは経験上分かっていた。
殴るか、逃げるか…うまく話を逸らすという選択肢がないのが我ながら情けない。
「恥かしがる事はないよ。なんせ……」
そこで言葉が切れる。訝りながら視線を上げると、男はこちらに視線を向けていた。
いや、正確にはその後方に。

―風が、変わった。

風に乗って聞こえる足音。近付く気配。
微かに香る花の匂いと、もうひとつ。
「――おお」
男の背後にいた者が、震えるように息を吐き出した。
一人、また一人と、膝をつき、頭を垂れていく。
その姿に感じられるのは、確かな畏敬の念。
男は彼らを振り返ると微かに忍び笑いを漏らし、続くように膝をついた。
その男の行為に驚いて目を見開くと、彼は悪戯っぽく片目を瞑って見せた。
どこまで本気なのか…その仕草に呆れ、思わずため息をつく。
だが、これで道が定まったのは間違い無い。

背後を振り返り、その姿を見据える。
他の者のように跪くつもりは無い。姿勢を但し、一礼するだけに留めた。
定まったのなら、この姿勢を貫かなければならない。
己が願う道の為に。


「貴方が―――

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